金融機関やクレジットカード会社のシステム開発を事業ドメインとするホロンシステム様。新規事業にも積極的に参入する同社では今年、SaaSの新サービス「助成金クラウド」をスタートさせた。この新サービスのスタートまでを、開発~クリエイティブ~マーケティングのワンストップサービスで支えたテクノデジタルとの仕事について語ってもらった。
――ホロンシステムさんの「助成金クラウド」は、昨今のコロナ禍による助成金申請者の急増により、そのユーザー数は増加傾向にあると思います。
佐藤 はい、おかげさまで、今年2月10日に「助成金クラウド」サービスをローンチ後、4月に入ってトライアイル利用者が急増しました。新型コロナウイルスの感染拡大で、雇用を維持したい企業が雇用調整助成金などの助成金活用を検討し始めたからだと思います。
――ユーザー数が急増すると、その対応は大変だったのではないでしょうか。
佐藤 確かに、お客様への対応も大変でした。が、何より、助成金の最新情報をキャッチアップし、迅速にサービスへ反映していくのが一番大変でしたね。特に、雇用調整助成金は(その当時は)毎週申請様式の変更が発生したので、その都度、弊社のエンジニアが最新の申請様式への対応を行っていました。お客様からは、「『助成金クラウド』に掲載されている申請書が、最新のものなので、安心して利用できた」という声もいただきました。このような好評価が、「助成金クラウド」の継続利用の理由のひとつだと思います。
――まだ、知らない人も多いので、改めて貴社のSaaS(※1)「助成金クラウド」について、教えてください。
佐藤 「助成金クラウド」は“助成金に関する情報”と“助成金申請書作成支援を行うサービス”の2つの要素で構成しています。前者は様々な助成金の最新情報を分類して、ユーザーに分かりやすい情報を伝えています。一方、後者は様々な助成金の指定様式(計画届や変更届、支給申請)に対応しており、申請する会社さんの情報をマスター管理することにより、自動参照機能や勤務時間の集計、助成額の自動計算機能などの支援機能があります。これにより、マイクロソフト社のWordやExcel等のファイル形式で作成せざるを得なかった申請書を、「助成金クラウド」上でスムーズに作成することができました。
※1 Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)」の略
――申請者にとって嬉しいサービスですね。なぜ、このサービスを始めようと思ったのでしょうか。
佐藤 「助成金クラウド」を開発した時、助成金の利用率はとても低かった。日本国内には法人数が330万社、個人事業主も含めると460万社あります。しかしながら、助成金を活用しているのはそのうちの10%未満です。
――助成金を活用している企業が、10%未満とは……、思った以上に少ないですね。
佐藤 その理由は、そもそもどの助成金が利用できるのか分かりにくいことと、申請の為のハードルが高いことの2点です。企業が助成金を活用しやすい環境を作り、経営に役立てて欲しいという想いから、「助成金クラウド」の開発に踏み切りました。
――「助成金クラウド」のリリースも、やはり、長年多くの企業さんのコアパートナーとしての知見があった貴社だからこそ、社会のニーズをいち早くくみ取れたのでしょう。
佐藤 それは分かりません。ただ、今回の「助成金クラウド」は、弊社にとって2014年からスタートした第二創業期(創立1988年)の一環として、新規事業で新しい分野を切り開いていくことから生まれたものです。
――率直に、今回弊社を開発パートナーとして選定した理由を教えていただけますか。
佐藤 実は、テクノデジタルさんとは、別の案件で以前ご一緒したことがありました。それはある会社さんのシステム開発の支援でした。
――その時、テクノデジタルのことをどう感じました?
佐藤 その案件では、テクノデジタルさんは要件定義と設計の段階から部分的に関わっていただいたのですが、仕様やフローの説明や設計の修正を、テクノデジタルさんのエンジニアがされていたのは印象的でした。そうした方が、テクノデジタルさんの社内には何人もいることが分かってからは、安心してお任せすることができました。ですから、「助成金クラウド」の開発を考えた時、真っ先に私の頭の中に浮かんだのはテクノデジタルさんでしたね。
――開発のプロジェクトマネージャーを務められた田中さんは、テクノデジタルにどのような印象を持っていましたか。
田中 私のこれまでの業務は、基幹システムの開発がメインで、クラウドのサービスを開発するのは、今回が初めてでした。その点から少し不安を抱いていたのですが、システムのことを理解しているエンジニアがテクノデジタルさんは多いので、弊社のような基幹システムの開発に携わるエンジニアにも、非常に分かりやすい進め方で「助成金クラウド」を開発してくれたのは助かりました。
――具体的な進め方は?
田中 基幹システムの開発工程は、要件定義、基本設計、製造、テストの流れです。しかし、その流れに合わせて、Webサイトの開発も進めていただけたという印象です。キックオフミーティングの前は、「アジャイルで進めるのかな?」と思っていたからです。ほかにも、用語ひとつとっても、Webサイトの開発に慣れていないスタッフにも、理解できる用語を選んで説明してもらえたのは嬉しかったです。
――また、「助成金クラウド」の開発基盤はAWSです。
田中 開発基盤はいろいろ検討し、最終的にAWSへ行きついた感じです。しかも、テクノデジタルさんは、APNコンサルティングサービス(※)なので、安心してお任せすることができましたね。
※APN(Amazon Partner Network)コンサルティングパートナーとは、AWS上における、アプリケーションの設計、開発、構築、移行、運用などのシステムライフサイクルを支援した実績をもつプロフェッショナルサービス企業が参加することができるパートナーネットワークのこと
――「助成金クラウド」では、テクノデジタルは開発分野だけではなく、デザイン分野やマーケティング分野にも参画させていただきました。
佐藤 弊社には、UI/UXを任せられるスタッフがいないので、テクノデジタルさんのデザイナーチームに「助成金クラウド」のプロジェクトに参画していただくことで、“いいものができた”と十分な手ごたえを感じています。
――マーケティングチームはどうでしたか。
佐藤 今回、テクノデジタルさんのマーケティングチームにはコンテンツ作成のお手伝いをしていただいたのですが、助成金に関連する検索キーワードのボリューム(月間平均検索回数)のは、それほど多いわけではありません。そうした中でも、自然検索からの流入は獲得できています。
「助成金クラウド」のサービス名も、Webサイトを公開してから、2週間後には1位で表示されるようになりました。当初は2、3カ月くらいかかると予想していたので、想定よりも早い段階でサイトランク上位を獲得できました。
また、「助成金」という難しいテーマにもかかわらず、コンテンツの内容も正確でしたね。お客様の中には、コンテンツを参考にして、実際の申請手続きを進められた方もいたという話を聞きました。
――満足していただいたようで安心しました。今後、「助成金クラウド」のニーズはますます高まってきそうですね。
佐藤 当初は「助成金クラウド」を助成金だけでなく、補助金にも対応するサービスにしようと考えていました。しかし、今は助成金に特化し、「助成金クラウド」のユーザーが助成金というサービスを最大限に利用できるようなものにしていきたいと考えています。そのためにも、テクノデジタルさんのように開発からクリエイティブ、そしてマーケティングが一体となったワンストップサービスは、このサービスの成長に欠かせませんね。
――本日はお忙しいところ、ありがとうございました。